
text: Yosuke Matsubara
Date: 2025.09.08

『旅は道草が楽しい』
香港最終日の陽が傾き始めた頃は、前半のツケで先に斜めに傾いてた胃が回復してきた頃でもあり、香港の中心街に戻った。歩き続けたことで、満腹だった胃袋にも少し余白ができたタイミングです。最後の腹ごしらえを前に、香港の混沌の象徴、『重慶大厦(チョンキンマンション)』へと足を運びました。
重慶大厦とは香港の混沌が凝縮された建物であり、湿度の高い多国籍ビル。その名の通りのマンションではなく、バックパッカー向けの安宿があったり、日曜夜でも営業しているレシートが発行されない両替所があったり、雑多なお店が混在した香港のカオスの象徴とも言える場所であり、ウォン・カーウェイの映画『恋する惑星』でも登場したり。
話しを戻します。
仲良しの知人から事前に聞いてた香港おすすめご飯を旅の最終地点として位置付け、腰を据えました。
麥文記麵家
香港初日は現金を持っておらず、お店の敷居をまたぐや否や現金のみだと判明して店を後に泣く泣く引き返した因縁の店です。
アジアでも有数な金融街として名高い香港も現金以外お断りのご飯屋もたくさんあり、現代と昔が入り混じったグラデーションのような空気感には、香港が歩んできた歴史がにじんでいるように感じられました。
肝心のメニューは、海老の卵が粉々に散りばめられた汁なし麺。ひと口食べて、文句なしで頬がゆるむ。店員さんにお礼を伝え、宿へと戻りました。
「衣食足りて礼節を知る」
最近、円安の影響で日本や宮古島に訪れる外国人も増えてきました。様々な人種や人と接して思うのは、会う人会う人が礼儀正しいということです。今回の旅でもそうでした。香港の前に滞在した韓国の方々の心からのおもてなしや、香港の飲食店の店員さんの振る舞いや相席になったお客さん。みんなが目を見て”ありがとう”といえる環境っていうのが当たり前すぎて、気にしないこともしばしばですが、素敵だなと思うからこそ、忘れてはいけません。
「衣食足りて礼節を知る」という日本のことわざがあります。衣食住が満たされてこそ、人は礼儀や道徳を身につけるようになる、という意味です。言い換えれば、「腹が減っているときには礼儀どころじゃない」ということにもなるが、むしろ、お腹が満たされた後だからこそ、きちんと感謝の気持ちを言葉にすることが大切なのかもしれません。(終)


