text: Yosuke Matsubara

Date: 2026.01.13

2026年を迎えてしまいました。

古今東西、成熟し過ぎたインターネットの世界は実態のない虚構の応酬合戦。AIが一段とSNSのスクロールに加速度的に増すことに拍車をかけ、情報の一喜一憂もスピーディーに終わる。年末にゲストをお迎えして収録したポッドキャスト内ではやれAI、やれSNSなどスマホ漬けの日々に対する悶々とした話題をしています(お楽しみに!)。


とは言え、この文章を出すにもインターネット上のSNSを通しているのでいきなり回帰は難しいが、しかし回覧板のような見つかりにくいまたは拡散されにくいテキストや壁新聞のようなものも挑戦してみたいし、興味があります。

昨年ポッドキャストにご出演いただいたゲストの伊藤裕之さんはニューヨーク在住。彼はSNSはやっていないので、アルゴリズムフィルターを通してないピュアな情報が次から次へと出てきてとてもおもしろい。自ら歩いて行動して、情報をキャッチする姿勢に人間らしさを感じる。脳科学的にも、心理的にも人間の記憶に刻まれる、物事というのは体験から来るものであり、指でスクロールし画面上から抜き取れる情報は希薄かもしれない。外的環境を変えたり、旅路で強制的にオフラインに回帰する事は、この時代においてとても重要な役割を果たすかもしれない。手触りやゴツゴツした凹凸のあるものを何か追求したときに実際に目の前に対峙することの感覚。 感覚の話しをしたときに、実際に残るものとして嗅覚。臭い(あるいは匂い)というものが、もしかしたら自分の中では強いかもしれない。すなわちテクスチャー。




マルジェラの2026SSコレクションではひときわ印象だったのがキッズオーケストラ。その名の通りキッズたちがバックで演奏している。この表現に含まれるのは人間が不完全ではないというメッセージ。いまのSNS時代の完全さを脱却し、人間らしさを味わえる演奏だ。近いもので1970年代にブライアンイーノがプロデュースするオーケストラだと教えてくれたサックス奏者の先輩。アマチュアとプロフェッショナルの境界線を曖昧にする試み。どこかこのさきを見越しているような延長線上の話としてとても興味深かったし半世紀を経てキャッチできた嬉しさ。『不協和音』だけどとてもとても心地よい。



ホンモノであり不完全である。

この時代だからこそ、人間の不完全さは画面上には存在しないものなのかもしれない。聞くことや書くことでわかる。人間ならではの楽しみ方を今年も追求していきたい。